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老化で判断力を失う前に!成年後見人を決めておこう

成年後見について

高齢で判断能力の低下してしまった祖父がいるとします。介護付き老人ホームに入居させたいのですが、まとまった現金や預貯金はありません。その代わり、売却すればそこそこの値がつく祖父名義の土地があります。その土地を売って老人ホームに入居できれば、親族も安心です。

さて、ここで問題が生じます。その土地は、誰がどうやって売ればいいのでしょうか。祖父はもう、契約書の意味など分からなそうです。実態としては、このような場合、近しい親族が事実上代理して契約することがあるかも知れません。しかし、親族だからといって当然に代理権があるわけでもなく、法的には問題のある行為です。

関係者が容認していて、穏便に事が進むことはあるでしょう。でもそれは、たまたま誰も文句を言っていないからであって、ひとたび誰かが異議を唱えれば、うまくいく保障はありません。残念ながら、相続をきっかけに問題が顕在化することが、まま見受けられます。

別の問題もあります。慎重な買主であれば、土地の名義人がきちんと契約書にサインできるのか不安に思い、契約を躊躇するかも知れません。後々トラブルに巻き込まれたくないからです。土地が売れなければ、現金が手に入らず、困ってしまいます(※注1)。

では、成年後見人が付いていれば、どうでしょうか。成年後見人には広範な代理権があるので、法的に問題なく、土地を売ることができます(※注2)。成年後見人は、祖父の財産を管理し、状況を記録するので、相続の際に揉めることもありません。成年後見は登記されますから、成年後見人は代理権を証明することができ、取引の相手方も安心です。

 

成年後見人の選出

成年後見人は、申し立てにより、裁判所が選任します。成年後見人には、親族がなることもできますし、弁護士などの専門家がなることもできます (両方でもかまいません)。日常の金銭管理程度であればともかく、財産関係が複雑で相続争いを避けたい場合などは、専門家が就任するほうが望ましいと言えるでしょう。

 

成年後見人がいなかった場合

さて、冒頭の事例で、祖父に成年後見人が選任されたとします。成年後見人は早速、土地を売ろうと思い登記を調べたところ、少し前にその土地は知らない人に贈与されて、その旨の登記がされていることが発覚しました。判断能力が低下していて悪い人にだまされたのか、今となっては正確なところは分かりません 。裁判で争って土地を取り戻せる可能性はありますが、時間もかかります。

もし、土地が贈与された当時、成年後見人が付いていれば、贈与を取り消すことができました。このように、問題が生じてから対処したのでは遅いケースもあります。判断能力に疑問がでてきたら、成年後見などの制度を検討するのが望ましいでしょう(※注3)。

一方、成年後見を利用すると、例えば会社の取締役になれないなどの制限も生じますので、 まずは弁護士に相談することをお勧めします。

注1

ここでは土地の売買を例にしましたが、賃貸したり、土地を担保に借入れをしたりする場合でも同じです。

注2

ただし、祖父が住んでいる土地や建物を売るには、裁判所の許可が必要です。

注3

ここでは成年後見のみを取り上げましたが、成年後見を利用するほどの状態ではなくても 「保佐」「補助」といった制度を利用することができます。また、任意後見契約制度といって、 まだ元気なうちに、将来のためにあらかじめ後見人を定めておくこともできます。